カフェ・ボエミオは昨日、皆々様のおかげにより大盛況の中、無事終了いたしました。ご来場いただいた大勢のお客様、誠にありがとうございました。 まだ昨日の舞台のさまざまなシーンが頭にフラッシュバックする今のうちに、オルケスタ・ボエミアの舞台上立ち位置から見た昨日のショーをここに回想しておきたいと思います。 オープニング: 「カミーノ(道)」 ショーの開幕に歌われたこの歌のスペイン語の歌詞は「・・・私は独りさびしくいる 道を探しながら 私は独りの放浪者 世界が私の住むところ 道 夏の道 私は放浪者 この道を行く。 ギターを片手に 兄弟とギターを弾きながら 私は道にいる・・・」というようなもの。 ダークスーツに身を包んだ楽団が薄明かりの中から一気にステージに光を持ち込んだ瞬間だった。 「砂漠の恋」 カホンがフラメンコのリズムを刻み始め、フラメンコギターの上に甘いサックスのメロディとストリングスの音が乗った音楽の中で、舞台の上手下手から黒スーツに黒の中折れ帽をかぶったフラメンコダンサー2人(板倉・高木)が現れ、ベリーダンサー・タカダアキコが客席から花道へと上がってくる。 楽団の位置から眺めるその3人の登場のシルエットは、スモークのかかった照明の中で、身震いするほど美しかった。 2人の男が一人の女をめぐってダンスで争うシーンが始まり、どちらにも付かず、またどちらにも付く女の踊りへと続く。タカダアキコはやはり天才だと思う。楽団の中にすらアキコにハートをわしづかみされた男が複数いた。最後は二人の男が女を担ぎ上げ、客席の中へと消えていった。
「孤高の魂」
アキコ・板倉・高木が去った後、暗闇の舞台から柴田亮太郎のフラメンコギターが鳴り始め、舞台中央に一筋のスポットライトが落ちると、そこにグレーのスーツを着たフラメンコダンサーが独り立っている。伊集院史朗だ。 さきほどまで同じ場所で展開されていた、愛憎うずまく恋物語の空気から完全に切り離されたストイシズムの化身として、伊集院はそこにいた。 その後ろに立った大渕博光の歌は、伊集院の内なる「孤高の魂」からしぼり出される声として歌われた。 肉体と魂が分離するように、直列に並んでいた2人が並列になる。ヨガでいうところの「自我」と「真我」が別ものであるように。 大渕の肩に伊集院が手をかけた時、楽団の中にいた僕は何かに、男として嫉妬した。
「エジプトの女王」
伊集院が独りで踊りをまっとうした後、舞台は「女性賛歌」の色に染め抜かれる。楽団は絢爛豪華なアラブ曲を演奏し始め、二コル組のダンサーたちの群舞の中に女王ニコルが登場する。舞台花道に躍り出るゴージャスな彼女にダルブッカ隊の男たちが付き従うが、その絵はまるでリオのカーニバルのベリーダンスバージョンと言うにふさわしい。 全ての男は女から生まれたのだというあたりまえの事実をあらためて思い出させられる時間だった。 そしてダルブッカ隊のリズムソロパートが始まるが、これがすさまじい。後ろにいる楽団のところまでダルブッカのアタック波が一発一発飛んでくる。「とどのつまりはリズムなのよ!!」とニコルに言われているような気がした。
「アレグリア」
ニコルの爆発的なパフォーマンスの後、青い薄明かりの中、フラメンコギター隊のさわやかな音が舞台に転がり始め、ニコルに誘われるように芋づる式に男性フラメンコダンサー3人(稲田・板倉・高木)が登場する。この時のニコルの即興の舞が実に美しかった。誘い出されるフラメンコ隊の先頭には今回の出演ダンサーの中で最も年若い高木がいたが、青年はこういう女性に導かれて大人の男になっていくのだと思う(独り言)。 そして始まる柴田亮太郎の曲。フラメンコを知り、音楽を知り、踊りを知った柴田ならではのあざやかな楽曲と、ダンサー稲田組による男気満点ド迫力振り付けの見事なシンクロニシティが繰り広げられる。 一ミュージシャンとして、この知性と感性と技巧の総動員をもって臨む音楽とダンスのコラボに加われることに至福の喜びを感じた。 そしてまた退場の仕方がニクイ。ピアソラの曲「午前零時」にも通じるような静謐の緊張感ただよう音の中でフラメンコダンサーたちが去っていく・・・ なんという男たちだろう!
休憩: 「あの終わり方は最高ですね!」という舞台監督さんの言葉にむかえられ、一同控え室へ。 「今日はイケル!」という手ごたえを皆がつかんでいた。
「月光の祝宴」
ダルブッカ奏者・空中紳士のキュー出しでまずは「アレーナ・デル・スール(南の熱い砂)」へ。疾走するモロッコの砂嵐のように舞台を一度かき回した後、「ジプシーレイン」のテーマでベリーダンサー・イーチャン&ミラが登場。この時目の前で見た彼女たちの野性味あふれる衣装にハッとさせられた。女性が美しいことは小さい時から知っていたが、香りたつような野性味が女性の危険な魅力を引き出すことを知ったのは大人になってからだ。(俺は何のハナシをしているのだろう・・・) 今回の公演の前、池袋駅構内のイベントにカフェ・ボエミオの縮小編成が出演した際、観客の中にいた僕の友人がイーチャン&ミラの魅力に完全にノックアウトされていたのを覚えている。まるでたった今童貞を捨ててきたかのような話ぶりだった。(だから何のハナシだっつーに・・・) 絶妙な照明効果のおかげで、花道で踊る2人の姿はまさにモロッコのアトラス山中における月光の祝宴だった。 初めは楽団の近くで踊っていたダンサーたちが花道に進み出ると、スモークのかかった光の中でひときわその美しさを増す。楽団の位置から見ると客席の暗闇の中に、えもいわれぬオーラをまとったダンサーの姿が浮かび上がる。そして思い出すのだ。僕はダンサーになりたかったのだと。
「カリスマ」
イーチャン&ミラの踊りが「ジプシーレイン」のテーマに戻ると、舞台袖からフラメンコダンサー・稲田進がみなぎる闘志を内に秘めながらゆっくり現れる。イーチャン&ミラに挟まれて中央にたどり着くや強烈なサパテアード(足の打ち鳴らし)が始まる。そして原子の周りを電子が旋回するようにイーチャン&ミラが稲田の周りを回る。カフェ・ボエミオのみどころは様々にあると思うのだが、このイベントが提示する大きなテーマの一つは、誤解を恐れずに言うならば「さまざまなセックスの形」だと思うのだ。直接触れ合うことの無いセックスもあるだろう。そしてフラメンコダンサー稲田進は、生身の手が触れてはならない「カリスマ」の結晶体なのだ。稲田のソロが進行するにつれ、飛び散る汗と高まるテンションで会場全体が稲田の気で満ちる。 そして観客は今見たものをどう消化したらいいのかも分からぬまま、稲田はさっさと舞台から去っていく。
「姫と騎士」
ワシントン・アービングの編集したスペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿にまつわる伝説集「アルハンブラ物語」には、アラブの姫とスペインの騎士による恋物語などが多数つづられている。 フラメンコギターのソロがエジプトの曲を奏でる中、姫キャラのベリーダンサー・ノエルがヴェールをまとって登場。フラメンコギター1本とベリーダンサー一人の舞がしずしずとつむがれ、一斉に楽団が鳴り、また止む。そして姫は騎士の到来を予感し、本当に騎士(伊集院)が現れる。なんと二人はお揃い色の白の衣装を着てアクセントカラーに地中海の青まで統一している! ここまでのプログラムに無かった平穏な調和と幸福の予感がただよう。 お互いダンス畑の違う者が本格的にペアダンスを振付けることには困難も伴ったろう。 イベント終了後、「あそこは手を握れ」「最後はもっと触れ合え」「俺は寸止めが好き」など、様々な意見が飛び交った。いずれにしても今回のイベントの主旨をストレートかつエレガントに体現していた。
「地中海の女」
ヨーロッパで恋をした地中海娘たちのことを思い起こして演奏していた。(完全に独り言)
「海峡を越えて」
色とりどりのジプシー風衣装に身を包んだ艶やかなベリーダンサー5人が次々と登場し、それまではとりつくしまの無いほどストイックなオーラでキンキンに張り詰めていたフラメンコダンサー4人がカジュアルめの衣装で登場。そこからいよいよイベント最後の大見どころ、ベリーダンサー5人+フラメンコダンサー4人の群舞へ突入。 スペイン語で歌われた歌詞の意味は
「・・・グラナダ(スペイン)とカサブランカ(モロッコ)の間で、日焼けしたジプシー娘が 僕にアンダルシアを歌う お前のようなジプシー娘は他にいない・・・」
べりーダンサー、フラメンコダンサー入り乱れての幸福な群舞!! ダンサーたちがサーチライトを浴びながら客席へと消えていく間、楽団は「デ・グラナダ・ア・カサブランカ〜♪」を絶叫。 終演であると同時に、新たなエンターテインメントの開始であることを会場にいた全員が感じたのであった!!!!!
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カフェ・ボエミオの公演情報が渋谷FMのラジオ番組「TOKYO CLUB INFOMATION」にて番組のおすすめイベントとして紹介されます。
オンエアー日程は11月26日(月)〜29日(木) 16:53〜16:58 です。
あと数時間後ですが、中目黒駅前のクラブ「OVO」に夜10時から出演します!